夏休みに入る頃、塾の親子面談で先生が息子に対して言った。

国語の文章読解力についてはもっと人生経験をして感情の幅を広げ、
自分自身が成熟しなければ理解出来ないことがある。
しかしながら様々な経験するのは難しいから補う為に読書が有効、
もっともっと色々な本を読むように、というアドバイス。

その上で息子に、
そうは言っても君はいつもニコニコしていて幸せそうで、
様々な感情を理解して読解力を持っていることよりも
朗らかに幸せそうに過ごしている方がいいかもしれない。
君は必ず幸せな人生が送れるよ。羨ましいことだ。

 というようなことを言った。

息子、挨拶をして教室を後にした後、帰り道に大泣き。
え?なんで泣くの、とちょっとびっくりした。
幸せそう、というのが気に入らない様子。
自分にだってニコニコしてしていたくない時だってある、
たまたま、こういう笑ったような顔なだけで
別に特別幸せじゃない、と言って泣いた。
先生に怒るでもなく、ただ悲しんでいる。
楽しいことやうれしい事はあるけれど、
心底からの幸せなんて自分は知らない、分からないそう。
そして自分は自分の周囲や将来に大いに不安があって
苦しかったり、悲しくなったりしているのに
そんなに気楽そうに見えるのか、とさめざめ泣いた。

ひとまずなぐさめ、その日は帰宅。
随分と回り道してトボトボ歩いて帰った。



最近、テレビのさんま御殿を見ていたら
高学歴タレントとおバカタレントの回だった。
高学歴代表の明治大学教授が
おバカタレントの知識不足を見た後で言った言葉が
でも幸せそうだね。だった。

なんだかざわざわと違和感のある言葉に感じた。。

幸せそう、というのは本来は良いイメージだけど、
この場合、少し見下したような侮蔑の香りがする。
やけに上から目線で一体何様のつもりだ、とも思う。

番組ゲストで出演して対等な関係なはずなのに
彼だけが急に目線を変えた。
一生懸命に何かしら取り組んでいる時、
挑む角度を変えられ、肩すかしを受けたような感じ。
一緒に相撲を取ってるはずの相手が
はっと気がつくと外から「ふうん」と見学していて
意見を言う。急に1人にされていたような感覚。

目上から目下にいう事はあるとしても
逆は違和感のある言葉だ。
先生が教鞭をとっている様を
幸せそうに見えます、という事は
すなわち理解以前にまるで内容無視し、大枠で捉えて
中身については一切興味を抱いていないように感じる。

物事を様々な視点から見て
客観的な意見を言うのは悪い事ではないけれど
この場合は失礼な感じが拭えなかった。

この人、おバカと向き合うことを放棄したんだな
と、
感じたのは私の勝手で、本心は違うかもしれませんね。
でもそう感じちゃったのは事実なのです。



息子の塾の先生が急に君は幸せそう、と言ったことは
長文読解力の実力不足を指摘したあと、息子をフォローしようと
なんとか良いところを見つけて言ってくれた思いやりであろう。
上記の教授とは違う性質のものだと思う。
息子は常々先生に信頼と尊敬を寄せている。
先生もまた息子に優しい眼差しをくれていると感じる。


でも、どういうわけか今回については
息子は泣き止まないほど傷付いていた。

随分昔、息子が幼かった頃、
量販店のドンキホーテに入った時、
耐えられない、と言って泣き出した事があった。


望む事以上の量が与えられるとなんとなく
不安感があり恐怖を感じる気持ちは理解出来る。
彼の中でも変化があって、思春期でもあり、
先生が思う以上に過剰に受け止めたのかもしれない。

過ぎたるは及ばざるが如し。

過ぎたこと、過剰な事は時に意図に反して
本来の目的から大きくずれてしまうもの。
むしろ逆効果。
自分の戒めとして覚えておこう。



幸せについて、自分が思うのは
幸せというのは「なる」ものでも「する」ことでも
「目指す」ものでも「与えたり与えられたり」するものでもなく
ただ、気付くものだと思う。

今の自分の幸せに気付けた人だけが本当に幸せだと思う。

どんな状況でどんな苦しみの中でも
ありがたいこと、感謝すること、どれほどあることか。
見過ごさないように気付きさえすれば幸せ。
幸せを感じる心を持てるか、
そのような精神状態であるかどうかだけが鍵。
親としてはそこだけはなんとしてでもしっかり育みたい!


なので息子にはどんな些細なことでもいい、
自分の幸せに気が付いてほしい。
それはどんなに恵まれた人にあなたは十分幸せですよ、と
言い聞かせても本人が気付かぬ限りは不幸。
幸せの尺度を他人との比較でしか測れないのもまたザンネンなり。
失ってから気が付くのはこれまた愚か。
早く気が付け〜〜。
そういうとこなんだなー。

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